- パーソナライズについて詳しく知りたい
- パーソナライズとカスタマイズの違いは?
- パーソナライズで得られる効果が知りたい
- パーソナライズの実行手順が知りたい
- パーソナライズのポイントや注意点が知りたい
パーソナライズとは、顧客データをもとに一人ひとりのニーズに合わせてアプローチするマーケティング手法です。
顧客ニーズが多様化し顧客体験の重要性が高まった現代では、従来のように不特定多数に同じコンテンツやサービスを提供しても効果は得られません。
本記事では、パーソナライズの効果や実行手順を詳しく解説します。
パーソナライズを成功に導くポイントや注意点も学べるので、初めて実践する人でも理解できる内容です。
顧客自らが情報を調整するカスタマイズは、設定の手間や時間がかかります。
パーソナライズなら企業側で顧客が求めるものを察知し、最適化したコンテンツを届けることが可能です。
業績を伸ばし会社を成長させたい人は、最後まで読んでみてください。
とくにLTVを改善したい人におすすめです。
パーソナライズとは【カスタマイズとの違い】
パーソナライズとは、個々の顧客に対して属性や行動・購買履歴などのデータをもとに、適切な情報やサービスを提供するマーケティング手法です。
顧客一人ひとりのニーズに合わせた情報を提供することで、コンバージョン率アップが見込めます。
パーソナライズの目的は、顧客の視点から「最適な情報を・最適な手法で・最適な人に」届け、長期的な関係を築くこと。
継続的に利益を発生させ、LTVの最大化を目指します。
パーソナライズとカスタマイズの違い
パーソナライズとカスタマイズの大きな違いは「誰が行うか」です。
手法 | 材料 | 実例 | |
パーソナライズ | 企業が顧客に合わせ自動で最適化 | 顧客の属性・趣向・行動履歴・購買履歴などのデータ | 顧客の興味や反応に合わせてメールの内容・送信回数を調整 |
カスタマイズ | 顧客自らが企業側の選択肢の中から設定 | 顧客自身の好みやニーズ | 受信頻度や受け取り内容を設定 |
また、パーソナライズやカスタマイズと混同しがちなものに「レコメンド」があります。
レコメンドは多数のユーザーに対して行動・購買履歴をもとに、関連性の高い別商品をおすすめする手法です。
企業から顧客への情報提供という点は同じですが、以下の点が大きく違います。
- レコメンド:多数のユーザー情報がベース
- パーソナライズ:個々の顧客情報がベース
パーソナライズがカスタマイズより重要視される理由
- 顧客ニーズ(価値観)が多様化してきた
- 顧客体験が重要視されるようになった
- 自身に最適化された体験が求められている
- 顧客体験のカスタマイズが難しくなっている
インターネットの普及で顧客は多くの情報が入手可能になり、より自分に合ったものを求めるようになりました。
企業側が用意する設定範囲では、物足りなくなってきたのです。
その傾向は商品・サービスに対してだけでなく、購入に関する一連の顧客体験にも及んでいます。
現代の顧客が求めるのは不特定多数に好まれる情報ではなく、自身の求めるものに最適化・パーソナライズされた体験です。
また、現在はスマートフォンのような小さい画面でWEBを利用するのが一般的で、カスタマイズ自体が困難になってきています。
カスタマイズにはないパーソナライズの効果・メリット
パーソナライズは情報の収集や分析・データの活用など多くの時間と手間を要しますが、カスタマイズにはない多くのメリットを得られます。
顧客と良好な関係性を築けるのはもちろん、費用対効果の高いマーケティングが可能です。
パーソナライズによって得られる主なメリットは、以下のとおり。
- マーケティングの効率化
- 顧客ロイヤルティの向上
- コンバージョン増加
マーケティングの効率化
パーソナライズ化することで、無駄なマーケティングコストを削減できます。
自社に興味・関心のない(コンバージョンが見込めない)ターゲット層に、広告やコンテンツを配信する必要がなくなるからです。
広告費・コンテンツ制作費・作業工数などが軽減され、浮いたリソースを有効活用できます。
データが蓄積されるほど、マーケティングが効率化されていく点も魅力。
顧客にとっても、求めていない情報が届かなくなることはメリットです。
現代のユーザーは過度な広告を嫌うため、パーソナライズ化により必要な情報だけが届くことで良好な関係維持が望めます。
顧客ロイヤルティの向上
顧客ロイヤルティとは、顧客が自社のブランド・商品に信頼や愛着を持つこと。
LTVの最大化やSNS拡散による宣伝効果などが見込めるため、現代のマーケティングにおいて重要視されています。
パーソナライズされた情報は適切な内容が適切なタイミングで届くため、顧客に「大切にされている」という感情を抱かせ自社への愛着を生み出すことが可能です。
顧客ロイヤルティが高まることで既存顧客の定着率も向上し、継続的な利益を得られるでしょう。
顧客ロイヤルティについて詳しく知りたい人は、コチラをどうぞ。
顧客ロイヤルティは企業への愛着度【マーケティングに必要な理由】
コンバージョン増加
コンバージョン率がアップする理由は、以下のとおり。
- 購買意欲がかき立てられる
- 途中で離脱されない
興味・関心のある商品・サービスだけを提案することで、顧客の購買行動を促進させます。
パーソナライズ化により顧客が求めるタイミングで情報にアクセスできるため、コンバージョンポイント(CTA)まで離脱なく到達可能です。
顧客ロイヤルティが高まった状態であれば、継続的なコンバージョンが見込めます。
長期的に利用してもらえれば、LTVの向上にもつながるでしょう。
カスタマイズを超えたパーソナライズの実行手順
パーソナライズを実行する前に、最終目標を明確にしましょう。
「売上をあげる」といった漠然な目標では不十分です。
顧客数・顧客単価・リピート率など売上アップの要素は1つではなく、何を重視するかでパーソナライズの方向性が変わってきます。
目標に沿って進めなければ、たとえ最適なパーソナライズに成功しても望む成果は上げられません。
最終目標が決定したら、以下の手順でパーソナライズを実行しましょう。
- 顧客データの収集・整理
- セグメント分け
- 顧客ニーズの把握
- パーソナライズ施策決定
- パーソナライズの実行
1.パーソナライズに必要な顧客データを収集して整理する
集める顧客データが多いほど、精度の高いパーソナライズが可能です。
セグメント分けやニーズの把握だけでなく、大量の顧客データを蓄積することで今後の予測にも役立ちます。
以下は、パーソナライズに必要なデータの一例です。
- 顧客属性(年齢・性別・職業・居住地・位置情報など)
- 顧客心理(趣味・嗜好・価値観・ライフスタイルなど)
- サイト訪問数・平均滞在時間
- 閲覧ページ・閲覧画像
- 最終訪問からの経過時間
- アクセスが多い時間帯
- アクセス時のブラウザ・デバイス
- メルマガ開封率・開封数
- プッシュ通知開封率(クリック率)・届いた数・アプリ起動数
顧客データの収集は、WEBサイトのトラッキング・顧客アンケート・SNS分析ツール・CRM(顧客関係管理)システムなどを活用すると効果的です。
上記のデータをもとに顧客をセグメント分けし、ターゲットを決定します。
2.顧客をセグメント分けしてターゲットを決定する
集めたデータをもとに、顧客をセグメント分けします。
誰のためにパーソナライズするのか、ターゲットを決定するためです。
どこまで細分化するかは最終ゴールによって異なりますが、細かく分けすぎるとパーソナライズが複雑化します。
セグメント分けの例は、以下のとおり。
- 居住地域で分ける
- 年齢・性別で分ける
- 購買行動のフェーズで分ける
居住地によるセグメントでは、ターゲット顧客が住んでいる地域と関連性の高い商品や近隣店舗の情報がパーソナライズ可能です。
年齢によって利用する販売チャネルが異なり、パーソナライズする内容も変わってきます。(例:高齢者層なら実店舗を多用、若年層ならオンラインショップを多用する)
顧客の購買行動は、カスタマージャーニーマップで視覚化が可能です。
潜在顧客か・顕在顧客か・リピート顧客かによって、パーソナライズする内容が異なります。
カスタマージャーニーについて、さらに詳しく知りたい人はコチラをどうぞ。
ペルソナ設定は、集客の鍵を握る。それからのカスタマージャーニーの考え方。
3.顧客ニーズを把握する
収集した膨大なデータを分析し、ターゲット顧客のニーズを読み取りましょう。
届ける情報が「顧客の求めているもの」でなければ、パーソナライズは成功しません。
むしろ、ネガティブな感情を抱かせることになり、離れていく可能性すらあります。
重要なのは、オンラインデータだけに頼らないこと。
カスタマーサービスやコンタクトセンター・アンケート調査など、オフラインには顧客の生の声が多く寄せられます。
さまざまなデータを総合的に分析することで、顧客のニーズを的確につかめるでしょう。
4.ターゲット顧客に合わせて細かくパーソナライズする
ターゲット顧客のニーズに合わせて、詳細にパーソナライズします。
「顧客の求めているもの」に最適化したサービス・コンテンツを制作することが重要です。
パーソナライズした情報を届ける方法(チャネル)には、以下のようなものがあります。
- パーソナライズド広告
- パーソナライズ動画配信
- パーソナライズメール
- パーソナライズド検索
- ECサイトの商品レコメンド
- SNSのパーソナライズ表示
- 診断コンテンツ
- CTA
- ヒーロー画像
- ブログ記事
- ホームページと特集コンテンツ
- ランディングページ など
情報提供が可能なチャネルであれば、ほとんどのサービスやコンテンツでパーソナライズ化が可能です。
購買履歴からおすすめの商品を提案したり、登録情報をもとにキャンペーンを配信したりできます。
5.パーソナライズしたコンテンツを配信する
パーソナライズ施策を実行する際は、4つの視点を意識します。
- いつ:最適なタイミングで
- どこで:最適な場所(チャネル)で
- 誰に:最適なターゲット顧客に
- どのような:ニーズに合わせた最適な情報を
どれだけ的確にセグメントし最適なコンテンツを制作しても、届けるタイミングを間違えれば効果がありません。
顧客があまり利用しないチャネルを選択した場合も、同様に効果は薄いでしょう。
4つの要素が組み合わさってこそ、顧客の求めるパーソナライズが実現します。
施策実行後は必ず効果測定を行いましょう。
届けた情報に対する顧客のリアクションを分析し、改善を重ねていくことが重要です。
パーソナライズを成功に導く5つのポイント
パーソナライズは有効なマーケティング手法ですが、やり方や実行のタイミングを間違えると顧客との関係性を壊しかねません。
ポイントをしっかり押さえて、利益の最大化を目指しましょう。
パーソナライズを成功に導くポイントは、以下の5つ。
- 顧客の求める情報のみを提供する
- 情報の偏りすぎに注意する
- 仮説立て・分析・検証をセットで行う
- 顧客が選ぶ余地を残す(パーソナライズしすぎない)
- 定期的に顧客情報をアップデートする
顧客の求める情報のみを提供する
パーソナライズの目的は個々の顧客に合わせた最適な情報を提供することで「企業が届けたい情報を届ける」ための手法ではありません。
どれだけ自社にとっておすすめの情報でも、顧客が求めていなければ不快感を与えます。
パーソナライズの実行は、つねに顧客視点で取り組むことが重要です。
とくに、SEO施策とのバランスには注意しましょう。
検索エンジンを意識してキーワードを盛り込んだコンテンツが、必ずしも顧客の求める情報とは限りません。
SEO施策とパーソナライズ化は、別の軸で考える必要があります。
情報の偏りすぎに注意する
パーソナライズは顧客のニーズに絞った情報を届けられる反面、興味・関心のある情報だけに偏ります。
同じような広告・コンテンツばかりが届くことで、顧客がネガティブな感情を抱くリスクがあります。
「企業によって情報が制御されている」と捉えられてしまえば、信用を失うかもしれません。
偏りを防ぐには短期間に類似した情報が届かないよう、表示頻度や配信頻度を下げるといった工夫が必要です。
仮説立て・分析・検証をセットで行う
ターゲット顧客を決める際やニーズを把握する際は、ペルソナやカスタマージャーニーをもとに仮説を立てます。
しかし、仮説を分析・検証せずにパーソナライズを実行すると、顧客ニーズとかけ離れた情報を提供する可能性があります。
パーソナライズという手法は、ほしい情報以外は顧客にとって「余計なお世話」でしかないのです。
十分な分析や裏付けのない仮説は、自社に都合のよい憶測にすぎません。
どれだけ過去に成功体験があったとしても、分析・検証したデータをもとにパーソナライズしましょう。
顧客が選ぶ余地を残す(パーソナライズしすぎない)
最終判断を顧客にゆだねるのがポイント。
どんなに最適にパーソナライズされた情報でも、押しつけがましく感じれば拒否反応を示します。
顧客にとって快適なパーソナライズとは、最後は「顧客自らが商品やサービスを選択する」ことです。
過度な押しつけを避けるためには、つねに複数の選択肢を提示する必要があります。
ニーズに沿った商品やサービスの中から自身が求めるものを選べたとき、顧客にとって最適なパーソナライズといえるでしょう。
定期的に顧客情報をアップデートする
顧客情報やニーズは流動的で、いつまでも同じではありません。
引越・結婚・出産など、さまざまな要因で変化します。
とくに、データ収集からパーソナライズ実行までに期間があくと、取得時のデータと顧客の現状がズレやすくなります。
パーソナライズは、LTVの向上を目的としたマーケティング手法です。
顧客との長期的な関係を築くには、変化するニーズや属性に合わせてパーソナライズし直す必要があります。
定期的に顧客データをアップデートし、変化に素早く対応できるよう仕組化しましょう。
カスタマイズを超えた「パーソナライズ」で顧客体験を向上させる!
カスタマイズは企業側が用意した選択肢の中から、顧客が自分の好みに合わせて情報を最適化します。
一方、パーソナライズは、企業が顧客に合わせ自動で最適化した情報を提供する手法です。
顧客の属性・趣向・行動履歴・購買履歴などのデータをもとに、広告やコンテンツをパーソナライズします。
現在は多くの情報が簡単に入手できるため、顧客はより自分に合ったものを求める傾向が強くなりました。
現代の顧客が求めるのは不特定多数が好む情報ではなく、自身の求めるものに最適化・パーソナライズされた体験です。