- ABテストの基礎知識を学びたい
- ABテストの実施方法が知りたい
- ABテストで成果を上げるコツは?
WEBサイトやWEB広告のコンバージョン率改善には、ABテストが有効です。
改善箇所を変えたAパターンとBパターンを比較することで、より効果の高い改善策を採用できます。
しかし、ABテストの基礎や実践方法がわからないため、導入に踏み切れない人もいるのではないでしょうか。
本記事では「ABテストの基礎知識と実践方法」について、詳しく解説します。
改善効果が出やすい箇所や改善のコツもわかるので、現状のサイト収益や広告効果に満足していない人は必見です。
ABテストをくり返すことで、コンバージョン率(CVR)やクリック率(CTR)の向上が期待できます。
改善に成功しページのパフォーマンスが上がれば、直帰率が下がり機会損失を減らせるからです。
改善するのはサイトの一部だけでよく、低コスト・低リスクで大きな成果を狙える点も魅力。
本記事の内容を参考にABテストを実施すれば、コンバージョン率を向上させ業績アップにつなげられるでしょう。
ABテストの基礎知識【メリット・デメリット】
ABテストはWEBサイトや広告の「コンバージョン率最適化」を目的とした、デジタルマーケティング手法のひとつです。
変更前と変更後のエンゲージメント率・クリック率・コンバージョン率などを比較・検証し、より効果的な改善を図ります。
- Aパターン:現状の要素やデザインを使用
- Bパターン:一部の要素のみ変更し他は現状のまま
テスト条件を揃えるため、変更箇所以外は現状のままにするのがABテストの基礎です。
数値が変動した要因を正確に把握するために、1回のテストにつき1箇所だけ変更します。
一つの改善で効果が出ることはほとんどなく、即効性はありません。
ABテスト期間中は専用ツールを用いて、ユーザーにそれぞれのパターンをランダムに表示させます。
3種類のABテスト
ABテストには3種類のテスト方法があり、検証できる要素や範囲がそれぞれ違います。
自社の状況(緊急性や予算)や、検証したい内容によって使い分けましょう。
ABテストの種類 | テスト内容 |
同一URLテスト |
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リダイレクトテスト |
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多変量テスト |
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ABテストのメリット
- 実施しやすい
- 改善によるリスクを抑えられる
- 改善にかかるコストを抑えられる
- データにもとづいた判断が可能
- 成功のノウハウが蓄積される
ABテストは低リスク・低コストなうえに工数が少なく、実施しやすい点がメリットです。
既存のページを残したまま実施できるため、改善に失敗しても大きな損失は出ません。
反対に、ABテストの結果をもとにうまく改善できれば、広告費をかけずにコンバージョン率を上げられるでしょう。
また、部分的な改善でよいので、予算や人手などのリソースを節約できます。
データを根拠に意思決定できる点も、ABテストの魅力。
個人の経験や勘に頼らないため、属人性が低く再現性の高い改善を実行できます(データドリブンマーケティング)。
ABテストによる改善をくり返すことで、将来的に成功のノウハウが溜まっていきます。
確立した勝ちパターンを横展開すれば、他サイトの改善や新規事業の立ち上げが有利に運ぶでしょう。
ABテストのデメリット
- 即効性がない
- 望むような効果を得られない場合もある
- 一定数以上の母数が必要
ABテストは部分的な改善をくり返して成果向上を狙うため、即効性はありません。
継続的なテスト実施が自社のリソースを圧迫したり、仮説立てに行き詰まり改善案が尽きたりする事態が考えられます。
AパターンとBパターンのどちらにも、大した変化が見られない場合もあります。
ABテストは結果が出るまで2週間ほどかかるため、時間的ロスにより損失が出る可能性もあるでしょう。
また、正確なテスト結果を得るには「2000PV以上」など一定数以上の母数が必要です。
立ち上げ間もないWEBサイトでは、ABテストは使用できません。
ABテストの基礎【改善で効果が出やすい箇所】
「1回のテストで改善するのは1箇所」がABテストの基礎ですが、テスト対象となる要素は多岐にわたります。
ABテストで得られるデータやノウハウが溜まるまでは、改善の効果が出やすい箇所から取りかかるとよいでしょう。
- タイトル・見出し
- ファーストビュー
- 導線設計
- CTAボタン
- フォーム
ページタイトル・見出し
ほとんどのユーザーはタイトルや見出しを見て、ページを読む価値があるかないか判断します。
ABテストによる改善のインパクトが大きい反面、早急に効果的な改善策を打たなければクリックすらされないでしょう。
【タイトル・見出しにおける主なABテスト対象】
- 文字サイズ
- 文言の内容
- 文章の長さ
- 文字の色
- 表示方法 など
限られた文字数でユーザーの興味関心をひくには、わかりやすい文言で簡潔に伝えることが重要です。
目に留まりやすい文字サイズや配色なども、ABテストで導き出しましょう。
特に広告見出しの場合は、他の改善箇所よりも高い効果が期待できます。
どの広告媒体でも見出しが大きく目立つため、ユーザーに認識されやすいからです。
ファーストビュー
ファーストビューは、ユーザーがページを開いて最初に見る部分です。
必ず見られる箇所であり、改善による効果が出やすい箇所でもあります。
ファーストビューのパフォーマンスが、その後のユーザー行動を左右すると言っても過言ではありません。
ユーザーはファーストビューを見て3秒以内に、離脱かスクロールかを判断するといわれています。
【ファーストビューにおける主なABテスト対象】
- キャチコピー
- テキストのボリューム
- テキストの内容
- メインビジュアル
- レイアウト・色 など
ユーザーニーズを満たすのはもちろん、ファーストビューでどこまで訴求するかも考えましょう。
訴求はわかりやすく目立つデザインにし、スクロールせずに見られる範囲に収めることが重要です。
ABテスト実施後は、以下の指標を測定し効果を検証します。
- ユニークユーザー(UU)
- クリック率(CTR)
- 滞在時間 など
導線設計
誘導したい方向からユーザーが逸脱していないかを、ABテストで検証します。
離脱されにくい導線設計は、読まれるWEBページの基礎です。
改善することで読了率が向上し、コンバージョン率アップにつながります。
【導線設計における主なABテスト対象】
- 外部リンクへの離脱導線
- LP→メインのサイトへの導線
- 商品ページのレコメンドエリア など
ページ遷移が多いほど、離脱される確率が高まります。
「ほしい情報が探しにくい」「面倒だと感じる」「使い勝手が悪い」といったユーザー感情が働くからです。
ABテストで、ページ内にあるリンクの必要性を見極めましょう。
モーダルウィンドウを用いてページ遷移しない表示方法にしたり、スクロール量を少なくしたりといった改善策も有効です。
CTAボタン
CTAボタンは商品購入やサービス申込といった、コンバージョンにつながる箇所です。
トップページ・ランディングページ・WEBサイト・WEB広告・バナー・動画など、さまざまなコンテンツに設置します。
設置する媒体に合わせたクリエイティブが必要なため、ABテストが有効です。
【CTAボタンにおける主なABテスト対象】
- 位置
- 大きさ・色
- ラベリング
- マイクロコピー
- ボタンの数 など
ラベリングやマイクロコピーの内容によって、クリック率(CTR)が大きく改善します。
CTAボタン自体に動きや輝きを付けたり、画面内を追従させたりするのも有効です。
ABテスト実施後は、クリック率の変化で改善の効果を検証します。
CTAボタンのクリック率が上がってもコンバージョン率が上がらない場合は、購入フォームの問題を疑いましょう。
お問い合わせ・購入フォーム
お問い合わせ・購入フォームは収益に直接かかわる重要な箇所です。
フォームまでたどり着くユーザーは自社の商品・サービスに興味があるため、うまく改善できれば大きな成果を得られるでしょう。
【フォームにおける主なABテスト対象】
- 表示形式(一体型・別ページなど)
- 入力必須項目数
- 入力方法
- フォントサイズ
- レイアウト
- デザイン・配色 など
ユーザーが入力を面倒に感じない設計にすることで、離脱率が下がります。
コンバージョンポイントで機会損失を減らすことが、収益アップへの近道です。
ABテストによる改善後は、入力完了率やコンバージョン率で効果を検証しましょう。
ABテストの基礎【実施方法を5つの手順で解説】
ABテストは実施前の準備が大切です。
目標設定・ターゲット設定・課題の洗い出しを見誤ると、その後の工程がすべて間違った方向で進んでいきます。
ABテスト実践の基礎を学び、効果的な改善を目指しましょう。
具体的な手順は、以下の5つです。
- 目標設定・課題の洗い出し
- 改善箇所の特定
- ABテストの設計
- ABテストの実施
- 効果検証
1.目標を設定し課題を洗い出す
ABテストで改善したい要素を、目標として設定します。
目標が定まれば、達成に必要な課題もおのずと見えてくるはず。
ABテストの結果を正確に検証するため、数値で表せる指標にするのが基礎です。
【目標設定・課題の洗い出しの例】
改善したい要素・目標 | 目標達成に必要な(改善すべき)課題 |
クリック率の向上 |
|
コンバージョン率の向上 |
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スクロール率・読了率の向上 |
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また「誰に向けての改善策か」を明確にする必要があります。
ターゲットの絞り込みは、デジタルマーケティングの基礎です。
ターゲットの明確化には「ペルソナ(具体的な顧客像)」設定が有効。
年齢・性別・職業・居住地・趣味など、細かく設定するほどユーザー像を鮮明にできます。
2.改善箇所(効果が出やすい要素)を特定する
洗い出した課題をもとに、ABテストで改善したい箇所を特定します。
コンバージョンに近い箇所や離脱率の高い箇所など、効果が出やすい要素から着手するのが基礎です。
「アクセス解析ツール」を活用すると、改善箇所を見つけやすくなります。
- googleアナリティクス:各ページの遷移率や離脱率などを計測
- ヒートマップ:離脱箇所・クリック箇所・クリック率などを計測
ツールを用いることで、体感や経験値ではなくデータ分析にもとづいて改善箇所を特定できます。
3.仮説を立てABテスト(テストパターン)を設計する
改善箇所を特定したら「何が原因でこうなっているか」といった仮説を立てましょう。
仮説立てはテストパターン設計の基礎であり、仮説が正しいかどうかをABテストで検証します。
テスト結果と仮説を照らし合わせることで、ユーザーの行動や思考を分析しやすくするのが狙いです。
仮説をもとに改善策を立案し、ABテストパターンを設計します。
設計する際は、以下の要素を組み込みましょう。
ページ内に入れる要素 | キャッチコピー・テキスト・画像・CTAボタンなど |
入れる要素の配置 | 画像やボタンの位置など |
デザイン | 配色・アイキャッチ・レイアウトなど |
コピーに使う文言 | キャッチコピー・ラベリング・マイクロコピーなど |
実施期間 | 終了時期・終了条件など |
バナー画像 | クリエイティブなど |
4.優先順位の高い箇所からABテストを実施する
用意したテストパターンに従い、ABテストを実施します。
優先順位の高い箇所から1つずつテストするのが、ABテスト実施の基礎。
1ページだけでも改善が必要な箇所は多く、1箇所テストするのに2週間はかかるからです。
効果の薄いところに時間をかけるより、効果が出やすい箇所からテストしたほうが改善のインパクトは大きくなります。
「ABテストツール」を使用すれば、AパターンとBパターンをランダムに振り分けてユーザーに表示してくれます。
テスト結果を自動で判断しデータをまとめてレポートする機能もあるので、大幅な工数カットが可能です。
5.効果を検証してより有効な改善策を立案する
ABテストを実施したらそのままにせず、必ず効果を検証しましょう。
効果検証の基礎は、AパターンとBパターンのどちらが大きな成果を上げたか検証すること。
ただし、A・Bを比較するだけでなく、手順1で掲げた「目標に対する達成度」も必ず計測します。
未達成の場合は、再度改善してテストする必要があるからです。
一方で、数値だけですべてを判断しないことも重要です。
「仮説に対する結果」や「アクセス解析で分析したユーザー行動」から、数値化できない要因を探りましょう。
効果検証の精度が高いほど、より有効な改善策を打てます。
PDCAサイクルを回し続けることで、勝ちパターンを確立できるでしょう。
ABテストによる改善で効果を出すコツ
- 改善箇所は1回のテストで1箇所のみ
- テストは同時期に実施する
- テスト実施期間は2週間以上が目安
- 一定以上の母数を確保する
- テスト結果をデータとして蓄積させる
ABテストで改善する箇所は、1回のテストにつき1箇所です。
一度に複数個所を改善したりページ全体を変更したりすると、数値が変化した要因を正確に把握できません。
ABテスト実施は同時期に行い、最低2週間の実施期間を設けること。
日付や時間帯によって、サイトや広告への訪問者数が異なるからです。
土日・祝日の数など同じ条件にしなければ、正確なテスト結果を得られません。
テスト対象のサイトが、一定数以上のユーザーを確保しているかも重要です。
母数が少なすぎると、テスト結果の信憑性が下がります。
ABテストの結果は貴重な独自データとなるため、きちんと保管しておきましょう。
高い効果があったコピーやデザインなど、自社のノウハウとして蓄積することで大きな強みにできます。
ABテストの基礎を身につけ最適な改善策を導き出そう!
ABテストは、コンバージョン率の向上に効果的な手法です。
準備や実施にかける工数が少なく、低コスト・低リスクで実施できます。
即効性がない点や一定数以上の母数が必要なものの、テスト回数を重ねることで独自のノウハウが蓄積されていく点は大きなメリットです。
本記事で解説したABテストの基礎を実践し、より効果的な改善を施しコンバージョン率アップを目指しましょう。