ビッグデータが変えるマーケティング戦略【改善する5つの業務】

ビッグデータの簡略図
  • ビッグデータについて詳しく知りたい
  • ビッグデータがマーケティング戦略をどう変えるか知りたい
  • ビッグデータをマーケティング戦略に活用する方法を教えて

マーケティング戦略をより効果的なものへと変える「ビッグデータ」。
その重要性は高まっており、さまざまな企業がビッグデータを活用することで業績を上げています。
しかし、具体的にマーケティング戦略のどの業務をどう変えるのか、イメージできない人もいるのではないでしょうか。

本記事では「ビッグデータがマーケティング戦略をどう変えるのか」について解説します。
具体的に変化する業務内容や実践方法もわかるので、ビッグデータの活用を検討している人におすすめの内容です。

結論からいうと、ビッグデータの活用が変えるのは、分析から施策実行までにかかる時間
大量のデータから精度の高い分析結果を得られるため、マーケティング戦略の立案や意思決定がスピーディに行えます。

業績を上げて会社を成長させたい人は、最後まで読んでみてください。

目次

マーケティング戦略を変えるビッグデータとは

ビッグデータを表すアイコン群からパソコンへと矢印が向いている

ビッグデータとは、人間では把握できないほどの巨大なデータ群のこと。
多種多様なデータが日々生成されており、テキスト・画像・動画・音声など種類や形式もさまざまです。
ただし、ビッグデータに明確な定義はなく、業界や取り扱う人間によって解釈は異なります。

【ビッグデータの例】

  • 実店舗の販売情報を記録するPOSデータ
  • 顧客の属性や居住地などを記録した顧客データ
  • メール内容・SNS投稿やコメント
  • ECサイト・WEBサイトの顧客情報 など

ビッグデータを構成する要素

ビッグデータは「3V」と呼ばれる要素で構成されます。

ビッグデータの構成要素 特徴
Volume(データ量) 膨大な容量(数十テラバイト~数ペタバイト)
Variety(データの多種多様性) 構造化されていないデータも含む
Velocity(データのリアルタイム性) データ更新頻度・処理速度の高さが求められる

現在は上記の3Vに「Veracity(正確性)」「Value(価値)」を加えた5Vを、ビッグデータとの構成要素とする傾向があります。

ビッグデータの種類

ビッグデータは「構造化データ・半構造化データ・非構造化データ」の3種類に、大きく分けられます。
このうち、多くを占めるのは半構造データと非構造データです。

データの種類 特徴
構造化データ 行と列で構成される二次元の表形式データ
すぐに利用可能
それほど増加しない見込み
POSデータ
顧客データ
Excel形式
CSV形式
半構造化データ 完全な構造は決まっていいないが、規則性に関する区切りはある
利用するにはデータの整理・変換が必要
今後も増加傾向
SNSデータ
ログデータ
センサーデータ
XML形式・JSON形式
非構造化データ 規則性がなく、二次元の表形式に変換できないデータ
今後も増加傾向
音声・画像・動画
テキスト
PDF形式

ビッグデータの分類には、さまざまな考え方があります。
総務省の解釈では「政府・企業・個人」の3つが生成するデータに着目し、以下の4つに分類しています。

  • オープンデータ:国や地方公共団体が提供するオープン化されたデータ
  • 知のデジタル化:企業のノウハウをデジタル・構造化したデータ
  • M2Mデータ:IoT機器から収集されるM2M通信によるストリーミングデータ
  • パーソナルデータ:個人の属性・行動履歴などに関するデータ
    (参考:総務省|平成29年版・情報通信白書|ビッグデータの定義及び範囲

「知のデジタル化」と「M2Mデータ」を合わせ「産業データ」と呼ばれます。

ビッグデータの活用例

ビッグデータを実際のマーケティング戦略に活用する場合、以下のケースがあります。

  • アイトラッキングデータを活用した顧客行動分析
  • 気象データや渋滞情報を活用した業務効率化
  • 検索・行動・購入履歴を活用したパーソナライズ化

アイトラッキング(視線計測)で顧客の視線の動きを分析し、より効果的な商品陳列に変え売上がアップした事例があります。
WEBサイトの場合、ヒートマップツールでクリック箇所を可視化すれば、CTAの設置場所を最適化できるでしょう。

気象データは顧客の動向をチェックするのに活かせるため、セール実施のタイミングや在庫量を調節するのに効果的です。
渋滞情報や渋滞予測の活用は、燃費向上や効率的な配送に役立ちます。

現代のマーケティング戦略に欠かせないパーソナライズ化にも、ビッグデータの膨大な顧客データが有効です。
顧客一人ひとりのニーズに合ったレコメンドや、有益情報の提供を可能にします。

ビッグデータが変えるマーケティング戦略【改善する5つの業務】

データを見ながら話し合う2人の男性

ビッグデータを活用することで、マーケティング戦略に関わる以下の業務が変化します。

  • データ収集
  • 顧客行動の分析
  • パーソナライズ化
  • 意思決定
  • PDCAサイクル

上記の業務が変わることで、マーケティング戦略における分析から意思決定までの時間を大幅に短縮できるでしょう。
スムーズに戦略立案し施策を実行できるため、スピーディなPDCAサイクルが可能です。

データ収集

ビッグデータのマーケティング戦略活用は、データの収集と分析を大きく変えるでしょう。
従来は「情報元・利用する部署・情報の形式」などがバラバラで、膨大なデータを集約するのに時間がかかりました。
また、アンケート調査のようにマーケティング実施後に取得するデータにはタイムラグがあり、リアルタイムでのマーケティングに活用が困難です。

ビッグデータはオンライン上で大量のデータを自由に収集し、更新・分析できます。
集できるデータが各段に増えることで、精度の高いデータをスピーディに取得可能です。

顧客行動の分析

ビッグデータのデータ量とリアルタイム性により、顧客分析も劇的に変化します。
大量のデータを時系列順に分析できるため、顧客の購買プロセスをより詳細かつ正確に把握できます。
これにより客観的な数値による顧客行動の可視化や、精度の高い予測が可能です。

従来のように、限られたデータを勘や経験則で補いながら仮説を立てる必要がありません。
データを根拠にマーケティング戦略を組み立てる「データドリブンマーケティング」を効果的に使えます。

ビッグデータの活用は、マーケティング戦略をより費用対効果の高いものへと変えるでしょう。
大量のデータ分析により確度の高い施策を導き出せるため、不確定要素の多い施策に予算を投入せずにすみます。

「データドリブンマーケティング」について、詳しく知りたい人はコチラをどうぞ。
データドリブンマーケティング入門【データを活用した戦略の立て方】

パーソナライズ化

ビッグデータの活用により、不特定多数へアプローチするマーケティング戦略から「One to Oneマーケティング」へと変化します。
ECサイトやPOSデータなどに蓄積される膨大な顧客データを分析することで、従来よりも顧客像やニーズを正確に把握できるからです。

顧客がコンタクトを望むタイミングやチャネルも、ビッグデータをもとに予測できます。
「誰に・いつ・どこで・どんな内容の情報を届けるか」を正確にパーソナライズできるため、成約に近い層だけを狙ったマーケティングが可能です。

意思決定

ビッグデータの膨大なデータ量が、マーケティング戦略における意思決定の速さも変えるでしょう。
大量の定量データをすぐに取得できるため、スピーディかつ合理的な意思決定が可能です。

合理的で客観的な判断は、周囲からの共感も得られやすいもの。
意思決定がスムーズになることで、マーケティング戦略の立案から施策実行・効果検証までがスピーディに進みます。

さまざまなデータが日々蓄積されていく点も、ビッグデータがマーケティング戦略を変えるポイント。
いつでも最新情報にアップデートできるため、つねにリアルタイム性の高い判断ができます。

PDCAサイクル

マーケティング戦略に欠かせない効果検証も、ビッグデータが変える業務です。
施策実行後の検証データを従来よりも多く取得できるため、事業が抱える課題を客観的な視点から発見できます。
迅速かつ精度の高い分析結果をもとに、最適な改善策を継続的に実行できる点は大きな変化です。

各施策やチャネルごとにかかるマーケティング予算の見直しにも、ビッグデータが役立ちます。
大量のデータ分析結果から、効果が出ている施策と出ていない施策を可視化できるからです。

ビッグデータが変えるマーケティング戦略の実践方法

拡散するデータの中に記されたビッグデータ成功のポイント

ビッグデータには従来のマーケティング戦略を変える力がありますが、適切に取り扱わなければ逆効果になる可能性があります。
膨大すぎるデータは取捨選択の判断を鈍らせ、現場を混乱させることもあるからです。

以下のポイントを押さえ、正しく活用しましょう。

  • ビッグデータ活用の目的を明確にする
  • 必要なデータのみ収集・加工する
  • 正しく分析して可視化する
  • 万全のセキュリティ対策を講じる
  • 専門スキルを持った人材を配置する

ビッグデータ活用の目的を明確にする

「ビッグデータを活用して何をしたいのか」をはっきり決めておくことが重要です。
ビッグデータは膨大なため、活用する目的を明確にしておかなければ、不要なデータの収集にリソースを消費します。

マーケティングの最終ゴールを社内で共有し、大量のデータに振り回されないようにしましょう。
目的はビッグデータの活用でマーケティング戦略を変えることではなく、変化したマーケティング戦略を利用して自社に利益をもたらすことです。

必要なデータのみを収集・加工する

収集したデータの取捨選択が重要です。
ビッグデータが持つ大量のデータには、マーケティング戦略に不要なデータも含まれます。
収集したデータの中から、目的達成に必要なデータのみを抽出しましょう。

ただし、社内でバラバラに管理されていては、必要なデータをスムーズに集約できません。
専用ツールを導入するなどして、データを一元管理できる体制作りが必要です。

収集したビッグデータは形式や分類がバラバラなため、分析しやすい形に整理・加工しなければなりません。
データの重複やエラーを修復し、分析しやすい形式に変換しましょう。

正しく分析して可視化する

ビッグデータを活用してマーケティング戦略を変えるには、収集した膨大なデータを適切に分析する必要があります。
ビッグデータの分析で重要なのは、マーケティング戦略に関わるすべてのスタッフが理解できるよう可視化することです。

ビッグデータの分析方法は、以下のとおり。

分析方法 概要 活用例
クロス集計 属性別に情報収集し分析 市場調査・顧客分析
アソシエーション分析 購入した商品の関連性を分析 顧客の購買行動
ロジスティック回帰分析 特定の事象の発生確率を分析 商品購入の可能性・予測
クラスター分析 顧客の類似性を分類して分析 顧客の好みや購買傾向の把握
決定木分析 分析結果を階層構造で可視化 ターゲットの絞り込み

万全のセキュリティ対策を講じる

ビッグデータには個人情報や機密情報が含まれるため、万全のセキュリティ対策が欠かせません。
個人情報や機密情報が流出した場合、信用がガタ落ちするだけでなく損害賠償などの重大な問題に発展する可能性があります。

不正アクセスに対するセキュリティの強化や情報の管理など、徹底した配慮が必要です。
個人情報を取り扱う際は、プライバシー保護の観点からデータを加工して使うなどの対策も考えられます。

専門スキルを持った人材を配置する

ビッグデータの膨大なデータを適切に分析し、マーケティング戦略に活用するには専門的な知識やスキルが必要です。

人材を確保する方法は、主に以下の3つ。

  • データサイエンティストを採用する
  • 自社で育成する
  • 外部へ分析を依頼する

ビッグデータ活用の重要性が高まるなかで、専門知識やスキルを持つ人材を採用するのは困難です。
かといって、自社で育成するにも多大な時間・費用・労力がかかるでしょう。

そこでおすすめなのが、デジタルマーケティング支援会社への外注です。
自社で育成するか人材を採用するまでは外注に頼り、徐々に内製化していく流れです。

ビッグデータでマーケティング戦略を変える!

ビッグデータの活用で、従来のマーケティング戦略は劇的に変化します。
取得できるデータの量と質が格段によくなるからです。

膨大なデータ分析と高いリアルタイム性により、分析から意思決定までスピーディかつ合理的に行えます。
スムーズな意思決定はその後の戦略立案・施策実行・効果検証を迅速にするため、最適な改善策を導き出しやすくなります。

ビッグデータの活用は、マーケティング戦略をより高精度・費用対効果の高いものに変えるでしょう。

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