Web広告を運用する際は、分析指標を活用して客観的に広告運用を分析していくことが必須です。
数ある分析指標の中でも、Web広告の費用対効果を分析する際に利用するのが「ROAS」になります。
今回はこのROASについて、意味や活用方法、ROI・CPAといった他の指標との違いなどを詳しく解説していきます。
Web広告の運用を行っている方、またこれから運用を始めたい方はぜひ最後までご覧になってください。
ROASの意味は?
ROASは「Return On Advertising Spend」の略称で、日本語で「広告費用対効果」と訳します。
使用した広告費に対してどれくらいの広告効果(商品・サービスの売上など)を獲得できたかを表す指標です。
ROASを把握することで投下した広告費を効率よく使用できているか把握することができます。
ROASの数値が高いほど費用対効果を高くして広告運用できていると判断可能です。
反対にROASの数値が低い場合は、費用対効果の面で改善の余地があると言えます。
ROASを活用すれば広告運用の費用対効果を客観的な数値で把握できるので、広告運用の改善に繋げやすいです。
ROASの計算は下記の式を使って算出します。
「売上÷広告費×100」
たとえば、広告運用によって獲得できた売上が100万円、投下した広告費が80万円の場合だと、ROASは「100万円÷80万円×=125%」となります。
ROASが100%を超えた場合は、広告費以上の売上を回収できている状態です。
反対に100%を下回ると広告費が売上を超過している状態になります。
ROASと他の指標との違いは?
ROAS以外にも広告運用で活用できる指標が複数あります。
ただし、各指標によって表す数値が異なってくるので、それぞれ違いを理解しておくことが重要です。
ROAS以外の広告運用の指標として、下記の指標が挙げられます。
・ROI
・CPA
ROASとROIの違い
ROIは「Return On Investmnet」の略称で、日本語で「投資収益率」と訳します。
もともと投資の世界で使われていた用語ですが、Web広告運用でも利用されるようになりました。
Web広告運用におけるROIは、投下した広告費に対して得られた「利益」の割合を示します。
ROASでは広告運用における売上などのコンバージョンを計測する指標ですが、ROIでは広告費に対する利益の割合を純粋に表す指標になります。ROIの計算式は下記の通りです。
「ROI=利益額÷広告費×100」
たとえば利益額が100万円、投下した広告費が50万円の場合だと、ROIは「100万円÷50万円×100=200%」となります。
ROIが100%を超えていれば利益を獲得できている状態です。
ROIは広告費に対する利益額の割合を確認するのに便利な指標ですが、投下した広告費(投資額)が少ないとROIの数値が高く算出できてしまうので注意が必要です。
実際の利益額が多くなくても、広告費は抑えられていればROIの数値は高くなります。
ROIの数値を確認することも広告運用では重要ですが、実際にどれだけ利益・売上が出ているのか金額ベースでの確認も必要です。
ROASとCPAの違い
CPAとは「Cost Per Acquisition」の略称で、日本語で「コンバージョン獲得単価」などと訳されます。
CPAは日本語訳の通り、1件のコンバージョンを獲得するのに生じた費用です。
何をもってコンバージョンとするかは企業によって異なります。
たとえばWeb広告を通じた商品・サービス購入をコンバージョンとする企業もあれば、会員登録・資料請求などをコンバージョンとするところもあります。
コンバージョンの内容によってCPAの目標値も変わってくるので、コンバージョンの定義は最初に明確にするのが重要です。
CPAの数値は下記の式を使って算出します。
「CPA=広告費÷コンバージョン数」
たとえば、コンバージョンを「商品の購入」とした上で広告費50万円を投下、獲得したコンバージョン数が20件あった場合、CPAは「50万円÷20=2.5万円」となります。
1件のコンバージョンを獲得するのに「2.5万円」かかった計算です。
このCPAの数値においては、商品の売上が2.5万円を超えていれば利益が獲得できている状態です。
CPAはROASと異なり「コンバージョン数」を表す数値であって、割合を示す数値ではありません。
このため、計算する際も「100」を乗じないので注意してください。
ROASを高めるためのポイント
広告運用においてROASを高めるためには、下記のポイントを押さえるようにしましょう。
・購入単価を高める
・リピート率を上げる
・最適なターゲティング設定を行う
購入単価を高める
ROASを高めるためには、購入単価を高めることが重要になります。
購入単価を高めれば、同じ個数のサービスを販売した場合にトータルの売上を伸ばすことが可能です。
購入単価と聞くと「商品の値上げ」をイメージされる方が多いかもしれませんが、商品を値上げしてしまうと商品購入がかえって減ってしまう可能性があるので、安易な値上げは推奨できません。
商品を値上げせずに、別の角度から購入単価を高めていくことが重要です。
たとえば、下記の方法を実施することで購入単価を高めることができます。
・関連商品の購入を促す
・商品のまとめ買いを勧める
・商品のランク分けを行う(ランクの高い商品を勧める)
関連商品の購入を促したり、商品のまとめ買いを勧めることで購入単価を高められます。
値上げをしなくても、ユーザーの1回の購入量を増やすことで購入単価を上げられるのです。
また商品のランク分けを行ってラインナップを充実させるのもおすすめです。
商品を幾つかのランクに分けることで、ランクの高い商品を勧めやすくなります。
ランクの高い商品を購入してもらえば、自然と購入単価を高めることが可能です。
またユーザー側から見ても「商品が値上がりした」という印象は感じにくい点、ランク分けのメリットになります。
リピート率を上げる
リピート率は、過去に商品・サービスを購入したユーザーが再度購入する割合を示します。
リピート率を上げることで商品・サービスの売上を自然と高めることが可能です。
リピート率が高い商品・サービスはそれだけ顧客から高い支持を受けているともいえるので、顧客からの評価を計測する指標としても利用できます。
リピート率を高めるためには、商品・サービスの質を高めることに加えて「リピート購入を促進するしくみ」を構築することが重要です。
たとえば、商品・サービス購入者に対して購入後のアフターフォローの連絡をしたり、定期的にダイレクトメールを送って商品・サービスの購入を促す施策などが挙げられます。
企業側から購入者に対してアクションを出していくことがリピート率の向上に必要です。
最適なターゲティング設定を行う
Web広告のROASを高めるためには、最適なターゲティング設定も重要になってきます。
商品・サービスのターゲット層に合わせてターゲティング設定を行えば、それだけ広告に興味・関心を抱いてくれるユーザーが多くなります。
広告をクリックしてくれたり、移動先のサイトで実際に商品・サービスを購入してくれる可能性を高めることも可能です。
ターゲティングのパターンを幾つか用意して、広告効果を比較するのもおすすめです。
最終的に最もROASの高かったターゲティングパターンにすれば、広告の費用対効果を自然と高められます。
まとめ
ROASは投下した広告費に対してどれだけ広告効果を得られているかを示す指標です。
ROASを把握することで、広告費を無駄にせずWeb広告運用を勧められているかチェックすることができます。
ROI・CPAなど他の広告指標と合わせてROASを利用することで、自社の広告運用をより多角的に分析することも可能です。
本記事で解説した内容を参考にして頂き、ぜひWeb広告運用でROASを活用してみてください。