- デジタル広告の費用相場を知りたい
- 広告予算の効率的な配分方法を知りたい
- 予算配分のコツや注意点を知りたい
デジタル広告の種類や掲載する媒体によって、必要な予算が異なります。
限られた広告予算で成果を上げるには、効率的な予算配分が不可欠です。
予算配分を間違えると、予算の浪費や広告費不足による販売機会の損失が発生します。
とはいえ、広告予算の配分には専門知識や経験が必要で、はじめて広告運用に取り組む人が効率的な配分方法を導き出すのは難しいでしょう。
そこで本記事では「デジタル広告予算の効率的な配分方法」について、わかりやすく解説します。
「デジタル広告費用の相場」もわかるので、広告運用を検討中の人に役立つ内容です。
広告予算を効率的に配分する方法は、以下の7つ。
- 売上目標をもとに配分
- 前年売上をもとに配分
- 損益分岐点をもとに配分
- CPAをもとに配分
- クリック単価をもとに配分
- 広告の種類ごとに配分
- 広告媒体ごとに配分
明確な指標を基準にすることで、広告運用の経験がない人でも無駄のない予算配分が可能です。
データや数値をもとに成果が出やすい広告に予算を集中させ、広告効果の最大化を目指します。
本記事の内容を実践できれば広告活用で収益が向上し、事業拡大も狙えるでしょう。
デジタル広告の分類と課金方法
デジタル広告は、大きく2種類に分類されます。
主な違いは「広告出稿後も運用する必要があるかないか」です。
- 運用型広告:出稿後に運用することが前提
- 純広告(予約型広告):出稿後に手を加えることはない
分類された中にさまざまな広告タイプがあり、リーチできるターゲット層や課金方式が異なります。
効率的な予算配分方法を習得するためには、課金方式に関する基礎知識が必要です。
表示されるだけで広告費が発生するタイプ、クリックされない限り費用がかからないタイプなど、広告によって形態が違います。
配分した広告費を無駄にしないよう、各広告の特徴をつかんでおきましょう。
運用型広告
広告出稿後も効果検証をくり返し、改善しながら運用していく出稿方法。
広告掲載枠は決まっておらず、広告内容や対策キーワードとの関連性を考慮して適切な枠に表示されるのが特徴です。
自社の目的や広告効果に応じて、予算・ターゲット・クリエイティブなどをリアルタイムで見直す必要があります。
出稿後も広告予算や配信頻度をコントロールできる点がメリットで、運用方法次第で高い効果が期待できます。
費用は広告の成果に応じて算出されるため、予算の無駄使いがなく効率的。
広告内容や出稿条件をリアルタイムで調整しながら、効果の最大化を目指しましょう。
【運用型広告に含まれるもの】
- リスティング広告
- ディスプレイ広告
- リターゲティング広告
- アフィリエイト広告
- SNS広告
- 動画広告
- アドネットワーク など
デジタル広告について詳しく知りたい人は、こちらのサイトがオススメ!
ADMA(アドマ)
純広告(予約型広告)
広告予算を効率的に配分するには、広告ごとに異なる課金方式を把握しておく必要があります。
主な課金方式の種類と採用している広告タイプを、一覧にまとめました。
課金方式 | 概要 | 具体例 |
---|---|---|
クリック課金(CPC) | 広告がクリックされた際に費用が発生 | リスティング広告 ディスプレイ広告 SNS広告など |
インプレッション課金(CPM) | 広告が1,000回表示されるごとに費用が発生 | ディスプレイ広告 リターゲティング広告 SNS広告など |
エンゲージメント課金(CPE) | 広告にエンゲージメント(反応)が起こる度に費用が発生 | ディスプレイ広告 SNS広告など |
視聴課金(CPV) | 動画広告が一定時間視聴された回数に応じて費用が発生 | 動画広告 |
成果報酬課金(PPA) | 広告経由で獲得したコンバージョン数に応じて費用が発生 | アフィリエイト広告 |
掲載期間保証型課金(CPD) | 保証されている広告掲載期間に応じて費用が発生 | 記事広告やタイアップ広告などの純広告 |
配信数型課金 | 広告の配信数に応じて費用が発生 | メール広告 |
【種類別】デジタル広告の費用相場
各広告の費用相場を、広告タイプや課金方式ごとにまとめました。
おおよその費用を知るだけでも、予算配分する際の参考になるでしょう。
※執筆時点での相場で、時間経過により変動する可能性があります。
※あくまで目安であり、広告費を保証するものではありません。
【デジタル広告の相場一覧】
広告名 | 課金方式:予算目安 |
---|---|
リスティング広告 | クリック課金:10~数千円/1クリック |
ディスプレイ広告 | クリック課金:50~100円/1クリック インプレッション課金:数十~数百円/1,000回表示 掲載期間保証型課金:数十万~数百万円/1週間 |
リターゲティング広告 | クリック課金:50~100円/1クリック インプレッション課金:数十~数百円/1,000回表示 |
アフィリエイト広告 | 成果報酬課金:メディア報酬+ASP手数料で約30% 初期費用:0~5万円/ASP登録時のみ 固定費用:0~5万円/1ヵ月 |
SNS広告 | クリック課金:20~200円/1クリック インプレッション課金:100~1,000円/1,000回表示 エンゲージメント課金:40~数百円/1エンゲージメント 視聴課金:数円~数十円/1再生 |
動画広告 | クリック課金:10~1,000円/1クリック インプレッション課金:100~600円/1,000回表示 視聴課金:3~150円/1再生 |
メール広告 | クリック課金:300~800円/1クリック 配信数型課金:5~100円/1件(一斉配信課金:0.1~2円/1配信) |
記事広告・タイアップ広告 | 掲載期間保証型課金:数十万~数百万円/1ヵ月 |
その他純広告 | 掲載期間保証型課金:数十万~数百万円/1週間 インプレッション課金:10~数百円/1,000回表示 |
デジタル広告予算の配分方法【7つの振り分け方】
デジタル広告運用の経験がない場合は「基準となる指標を設定する」のがポイント。
データや数値など明確な根拠を用意することで、専門知識がなくても効率的な予算配分が可能です。
ノウハウが一切ない中で勘や予測に頼ると、予算の浪費や不足による機会損失につながる可能性があります。
参考にすべき実績がない中で効率的に振り分けるには、明確な指標が必要です。
具体的な配分方法は、以下の7つ。
- 売上目標をもとに配分
- 前年売上をもとに配分
- 損益分岐点をもとに配分
- CPAをもとに配分
- クリック単価をもとに配分
- 広告の種類をもとに配分
- 広告媒体をもとに配分
売上目標をもとに配分する
「売上目標(円)×必要な広告予算の割合(%)=配分可能な広告予算」で、定量的に決める方法です。
目標売上から逆算していくことで無駄をなくし、効率的に予算を配分できます。
【売上目標をもとにした配分方法の例】
月間の目標売上を100万円に設定
投入する広告予算を10%に設定
上記の場合「100万×10%=10万」となり、月間10万円まで広告予算を配分できる。
投入する広告予算の割合は、高く設定しすぎると利益が残らず、低すぎると効果を得られません。
自社の現状をよく分析し、適切な割合を導き出しましょう。
前年売上をもとに配分する
広告運用の実績がない場合は「前年の年間売上」を基準にする方法が有効です。
昨年までの売上データから繁忙期と閑散期を見極めることで、効率的に振り分けられます。
【前年売上をもとにした配分方法の例
売上が低い月の広告予算を売上が高い月に回す
季節商材の広告配信をピークの前月から強化する
データが溜まり次第ROAS(広告の費用対効果)を測定
翌年以降は広告運用の実績がデータとして蓄積されていくため、ROASを活用した予算配分が可能です。
ROASの算出方法は「売上÷広告費×100(%)」。
(例:年間売上1200万円(100万円×12ヵ月)÷広告費120万円(10万円×12ヵ月)×100=ROAS1000%)
ROASから逆算「年間売上÷ROAS(%)」すると、配分すべき広告予算が算出できます。
(例:年間売上1200万円(100万円×12ヵ月)÷ROAS1000%=配分可能な広告予算120万円)
損益分岐点をもとに配分する
広告出稿における損益分岐点「商品価格-販売コスト」を設定し、予算を配分する方法もあります。
黒字と赤字の分かれ目を基準に配分金額を決定すれば、広告費が原因で赤字になることはありません。
【損益分岐点をもとにした配分方法の例】
商品の販売価格:1個10,000円
原価を含む販売コスト:1個4,000円
上記の場合「10,000-4,000」で損益分岐点が6,000円となり、6,000円まで広告予算を配分できる。
ただし、6,000円以下では利益も出ないため、実際は6,000円より安く抑える必要があります。
「1商品あたりにいくらの利益を残すか」を、明確にしておきましょう。
CPA(顧客獲得単価)をもとに配分する
1件のコンバージョンを獲得するのにかかる広告費を基準に、予算を配分する方法です。
CPAは「広告費÷コンバージョン数」で算出できます。
(例:月間の広告費10万円÷月間のコンバージョン数100件=CPA1,000円)
【CPAをもとにした配分方法の例】
商品価格:1個10,000円
販売コスト:1個4,000円(限界CPA:6,000円)
月間の目標コンバージョン数を100件に設定
月間の目標CPA(限界CPA-残したい利益)を1,000円に設定
上記の場合「100×1,000=10万」となり、月間で10万円まで広告予算を配分できる。
限界CPAを超えない限り赤字になる可能性は低いですが、集客の最大化だけを目指すなら「目標CPA=限界CPA」と設定してもよいでしょう。
クリック単価をもとに配分する
クリック課金方式が多い運用型広告の場合、クリック単価から逆算する方法「月間クリック数×クリック単価」も効率的です。
目標クリック数を達成するのに必要な金額が明確になるため、やみくもに予算を投下せずにすみます。
【クリック単価をもとにした配分方法の例】
月間の目標クリック数を10,000件に設定
落札予定のクリック単価を10円に設定
上記の場合「10,000×10=100,000」で、月間10,000クリックに必要な広告予算は10万円となる。
キーワードごとのクリック単価の目安は「Googleキーワードプランナー」で調査が可能です。
予測機能を使えば、平均クリック単価・表示回数・クリック数・費用・クリック率など、今後の予測に役立つ数値を確認できます。
平均値である点には注意が必要なものの、予算配分を決める参考にはなるでしょう。
広告の種類をもとに配分する
広告の種類によって、予算配分を変える方法です。
高い効果が見込める広告に予算を集中させることで、予算の無駄使いをなくし効率的に配分できます。
しかし、効果がありそうな広告を見極めるには、専門知識や経験が必要です。
これから広告運用を開始する段階では「自社の目的に沿っている広告」に、予算を集中させるとよいでしょう。
運用の実績が蓄積されれば、過去のデータから効果の高い広告を導き出せるようになります。
【広告の種類をもとにした配分方法の例】
広告の目的 | おすすめの広告タイプ |
---|---|
コンバージョン | リスティング広告 リターゲティング広告 アフィリエイト広告 |
認知拡大・ブランディング | ディスプレイ広告 SNS広告 動画広告 純広告 |
自社サイト・メディアへの流入 | リスティング広告 SNS広告 タイアップ広告 記事広告 |
広告媒体をもとに配分する
自社ターゲット層と関連性の高い広告媒体に、優先的に予算を配分する方法です。
媒体によって効果にバラつきがあるため、均一に予算を振り分ける方法は効率的ではありません。
成果が出にくい媒体の予算を成果が出やすい媒体に回すことで、無駄のない予算配分が可能です。
【広告媒体をもとにした配分方法の例】
アプローチしたいターゲット層 | おすすめの広告媒体 |
---|---|
若年層 | Google広告 X(旧Twitter) YouTube LINE |
10~20代 | TikTok LINE |
20~30代の女性 | Instagram LINE |
20~50代のビジネス層 | Facebook LINE |
高齢層 | Yahoo!広告 Google広告 YouTube LINE |
潜在層 | X(旧Twitter) |
PCユーザー | Bing |
アフィリエイターやWEBサイト運営者 | A8 バリューコマース |
効率的に広告予算を配分するコツ
- 目的やターゲットを明確にする
- PDCAサイクルをしっかりと回す
- テストマーケティングを実施する
広告運用の目的や自社ターゲットを明確にしておけば、意思決定の際に考えがぶれません。
「認知拡大」や「コンバージョン獲得」など、目的が決まっていれば予算を投じるべき広告が見えてきます。
ターゲットの明確化には、ペルソナ設定とカスタマージャーニーマップの活用が有効です。
想定されるユーザー像と行動・思考を可視化することで、自社ターゲットを鮮明にできます。
予算配分が完了し広告が回り始めたら、必ず定期的に効果検証しましょう。
検証と改善をくり返すことで、より効率的な広告運用が可能になります。
少額で出稿できる広告を利用し、試験的に予算を組んで運用してみるのもおすすめ。
小規模でもデータが収集できるため、正式に予算配分する際の参考になります。
【テスト予算の算出方法】
月間の広告予算が10万円の想定
テスト日数7日
上記の場合、テスト予算は「10万円÷30日×テスト日数7日」で約24,000円。
広告予算が少額の場合の配分方法
ひとつの媒体に予算を集中投下することで、効率的な配分が可能です。
少額の予算しかない状況では、多くの媒体に広告出稿するとすぐに予算が底をつきます。
短期間の広告運用では、PDCAサイクルに必要なデータも集まりません。
クリック課金の場合は、成果があらわれる前に予算が尽きる可能性も。
「自社の現状にもっとも必要な広告を見極められるか」にかかっています。
例外として、以下のケースでは複数媒体への予算配分が可能。
- リスティング広告だけでGoogle広告とYahoo!広告を出稿する
- リターゲティング広告を実施できるだけのPVがある
媒体を選定する際は「自社の目的やターゲットとの関連性」で選ぶ方法がおすすめ。
目的を達成しやすく、自社商材に興味関心を持つユーザー層が利用している媒体を選びましょう。
広告予算を配分する際の注意点
- 予算配分に時間をかけすぎない
- 定期的に予算配分を見直す
- LTVを考慮する
予算配分に時間をかけすぎると、市場の変化に取り残されます。
基本的に、ビジネスは計画通りに進みません。
早めに予算を決め広告を動かしたほうが、スピーディに改善できてかえって効率的です。
完璧な予算配分を目指さず、定期的に見直すことを前提とした方法がおすすめ。
効果検証をくり返し、つねに現状の予算配分が適正か検証しましょう。
また、LTV(顧客生涯価値)を考慮することで、より大きな成果につながる可能性があります。
特にサブスクの場合は継続的な利益を得ることが目的であり、LTVを考慮した予算配分が不可欠です。
【LTVを考慮した予算配分方法の例】
1商品にかける広告予算を1,000円に設定
想定される購買継続期間:1年
想定される購買頻度:年間6回
上記の場合、通常であれば商品1個あたりに1,000円の広告予算を配分する計算だが、LTVを加味すると「1,000円×6回」で6,000円の広告予算をかけたほうがよいことになる。
広告運用のノウハウがない場合は外注の検討も【まとめ】
広告予算を効率的に配分するには、広告運用に関する知識が必要です。
予算配分が効率的でも、経験やノウハウ不足で運用がうまくいかない可能性もあります。
自社のリソースや広告運用スキルに自信がない場合は、広告代理店への業務委託を検討してみてもよいでしょう。
予算配分から運用まで、まるっと任せることも可能です。
委託料は広告費の20%が相場で、業者のスキルや使用するツールによって変動します。
デジタル広告は大きな利益を得られる反面、運用方法を誤ると大きな損失を被る可能性が高い施策です。
失敗しないために、本記事で解説した「適切な広告予算の配分方法」をマスターしましょう。