- データドリブンマーケティングを詳しく知りたい
- データドリブンマーケティングのプロセスを教えて
- データドリブンマーケティングのコツや注意点を教えて
データドリブンマーケティングは、複数のデータを活用したマーケティング戦略。
従来のように「勘や経験則」に左右されないため、スピーディかつ再現性の高いマーケティングが可能です。
しかし、内容や手順などがわからないために、導入を迷っている経営者もいるのではないでしょうか。
本記事ではデータドリブンマーケティング入門と題して、導入するメリット・活用方法・戦略の立て方を解説します。
失敗しないためのコツや注意点も理解できるので、導入を検討している人におすすめの内容です。
業績をアップさせて会社を成長させたい人は、最後まで読んでみてください。
データドリブンマーケティング入門その1【基礎知識】
データドリブンとは計算機科学(コンピューターサイエンス)で使われる言葉で、「データに動かされる(データ駆動)」という意味です。
ビジネスにおいては、データ分析をもとに意思決定するプロセスを指します。
データドリブンマーケティングは、データを根拠にマーケティングを組み立てる手法です。
データからすべての動きを始めるのが鉄則で、アイデア・直感・経験・度胸といったデータ以外のもので意思決定することはありません。
データドリブンマーケティングが重要視される理由
- 顧客の購買行動が多様化・複雑化してきた
- 膨大なデータ収集が容易になり高度な分析が可能になった
- 従来よりも費用対効果の高いマーケティングができる
以前は不特定多数の顧客に、同じメッセージを届けるマーケティング手法が主流でした。
現在は顧客の購買行動が複雑になっているため、媒体(販売経路)ごとにデータを取得し行動や感情を分析できるデータドリブンマーケティングが重要視されています。
IT技術やAIの発達でデータ分析がより高度になったことも、大きな理由です。
企業が従来より多くのデータを取得できるようになり、顧客行動のデータ化が可能に。
データドリブンマーケティングを活用すれば、収集したデータから顧客の将来的な動きを予測することもできます。
データドリブンマーケティングのおかげで見えにくかった購買行動が鮮明になり、無駄な施策に予算をつぎ込むことがなくなりました。
自社マーケティングと関連性の高いデータのみを抽出できるようになったことで、最適な施策が選択可能になったのです。
データドリブンマーケティング入門その2【活用するメリット】
データドリブンマーケティングを活用することで、以下のようなメリットを得られます。
- ROI(投資収益率)が向上する
- 属人性が低く再現性が高い
- 顧客満足度が向上する
3つとも従来のマーケティングにないメリットで、企業が長年抱えてきた問題点を解決できる手法といえます。
ROI(投資収益率)が向上する
ROI(投資収益率)とは、かけた費用に対しどれだけの利益を出せたかを示す指標です。
データドリブンマーケティングの客観的なデータ分析や比較で、ROIの向上が見込めます。
意思決定の際に雑念(感情)が消えることで曖昧な判断がなくなり、最適な予算配分が可能です。
無駄な広告運用がなくなるだけでも、大幅なコストカットになるでしょう。
また、過去の購買行動をデータ化して把握することで効果的なアップセルが可能となり、LTVの向上につながります。
データを根拠に意思決定するため、スピーディに決断できる点もメリットです。
データドリブンマーケティングを活用すれば、最低限の予算で最大限の効果を目指せます。
属人性が低く再現性が高い
属人化しにくい点も、データドリブンマーケティングの大きなメリット。
データにもとづいて決断するため、個人の勘や経験に左右されにくいからです。
データを根拠にしたデータドリブンマーケティングでは、特定の人の能力に頼りません。
成功体験やノウハウが蓄積されやすく、やり方を社内で共有しやすくなります。
マーケティング担当者が変わってもデータが残っている限り、再現性は高いでしょう。
顧客満足度が向上する
従来のマーケティングは、企業の都合やマーケターの推論ベースが色濃く出ていました。
データドリブンマーケティングは、データ活用により顧客の行動や好みを把握できます。
一人ひとりのニーズに応えたマーケティング戦略を立てられるため、ユーザーエクスペリエンス(UX)の向上につながります。
企業の利益だけを求めたマーケティングではなく、顧客のニーズに沿った情報や購入体験を提供できる点は双方にとってメリットです。
顧客満足度が向上することで、リピート率や顧客単価アップが見込めるでしょう。
データドリブンマーケティング入門その3【戦略に必要な5つの手順】
データドリブンマーケティングの重要性やメリットがわかったところで、具体的な手順について解説します。
- KPIツリー設計
- データ収集
- データの可視化・加工
- データ分析・戦略立案
- 戦略実行・効果検証
データ駆動(データから始まる)とはいえ、闇雲にデータを集めればいいわけではありません。
自社がデータドリブンマーケティングに取り組む目的や最終目標を明確にしたうえで、必要なデータだけを活用します。
1.KPIツリーを設計する
データドリブンマーケティングでは、必要なデータだけを収集するのがポイント。
最終目標となる「KGI」を達成するために、中間目標となる「KPI」を設定しましょう。
KGIを頂点としたツリー型に設計することで、プロセスが明確になります。
【KPIとなる指標の例】
- WEBサイトへの流入数・滞在時間
- メルマガの開封率
- WEB広告のクリック率
- 問い合わせ数
- 資料ダウンロード数
- 商談化率など
KPIを設定しないと、目的と関係ないデータの収集や分析にリソースを奪われます。
KPIは数値化できることが条件です。
誰にでもわかりやすい形に設計することで、共通認識を持ちやすくなります。
いつまでに目標を達成すべきか、期間を決めることも忘れずに。
2.活用するのに必要なデータを収集する
設定したKPIをふまえて、必要なデータを集めましょう。
データドリブンマーケティングを行うための材料であり、戦略立案の根拠となります。
どのようなデータが必要か、取得手段も含め計画を立てておくことが重要です。
また、十分なデータを集められる「場所」を用意する必要があります。
データ収集場所 | WEBサイト・SNS・メルマガ・カスタマーサービスなど |
データ内容 | 自社サイト内での行動・購入履歴・購入までの経緯・SNS投稿・問い合わせ・アンケート結果など |
データ収集には、ツールやシステムが欠かせません。
- CDP:サイト上の顧客データを集約・統合
- POS:商品の売上実績を集計
- CRM:顧客との関係性を管理
最近ではIoT(インターネット接続可能な家電や機械)からのデータも有効です。
複数のツールを使用するとデータが分散しやすいため、集めたデータをひとつに集結(一元化)させる必要があります。
また、好感度や想起率など自社で正確なデータが集めにくい場合は、調査会社など外部への依頼も要検討です。
3.データを可視化・加工して活用可能な状態にする
データドリブンマーケティングでは集めたデータを精査し、分析しやすい形に加工してから活用します。
ビッグデータから収集したデータには不要な情報も含まれており、そのままでは使えないデータも多いからです。
たとえば自社商品への関心を示すデータがあっても、自ら問い合わせてきた顧客とアンケートに答えた顧客の熱量が同じとは限りません。
自社サイトへの流入数にしても、関係者からのアクセスが含まれている場合は不正確です。
データ内容を可視化することで客観的に理解し、最適な解決策を導きやすくしましょう。
膨大なデータを可視化するには、分析ツールやプラットフォームが必要です。
- BIツール:大量データの分析に効果的
- DMP:自社で収集したデータを管理・分析
- Web解析ツール:顧客の属性や行動を分析
4.データを分析して戦略を立てる
データを可視化したら、いよいよ分析・戦略立案に入ります。
すべての施策の根拠となる「データの分析・活用→戦略立案」は、データドリブンマーケティングの要といえる工程です。
分析結果からパターンや傾向を把握し、問題点や課題をあぶり出しましょう。
そこから導き出した仮説をもとに、戦略を策定する流れです。
的確な分析と有効な戦略立案には統計学やデータサイエンスの知識・スキル、豊富なマーケティング経験などが必要です。
自社に適任者がいない場合は、データサイエンティストやデータアナリストといった専門家への依頼も検討するべきでしょう。
5.戦略を実行し効果を検証する
立案した戦略にもとづきアクションプランを立て、実行していきましょう。
実行する際は優先順位を決め、チームを組んで組織的に動くのがポイントです。
実行後は必ず効果を検証し、改善をくり返します。
データドリブンマーケティングの目的は施策の実行ではなく、KPIの達成であることを忘れてはなりません。
PDCAサイクルを回すことで、より効果的な施策が可能です。
アクションプラン実行により得られるデータを定期的に分析し、戦略に沿っているかを確認します。
施策の結果によっては、戦略自体を見直す必要もあるでしょう。
データドリブンマーケティング入門その4【上手に活用するコツ】
入門その3でデータドリブンマーケティングのやり方がわかったところで、上手に活用するコツを解説します。
- データの重要性を全員が理解する
- 適切な人員を集めて組織化する
- 外部へのサポート依頼を検討する
とくにデータの重要性に対する理解度は、データドリブンマーケティングが成功する鍵といえます。
個人や部署単体では完結しない作業があるため、社内の理解と強力が欠かせないからです。
データの重要性を全員が理解する
データドリブンマーケティングを活用するには、各部署が連携して社内に散らばったデータを集めなければなりません。
社内全員がデータの重要性を理解していなければ、大量のデータをスムーズに集めるのは難しいでしょう。
意思決定者と施策実行者の認識がズレてしまい、戦略に沿った施策にならない可能性もあります。
マーケティング担当者や部署を孤立させないためには、経営者からのトップダウンが有効です。
データドリブンマーケティングの導入は会社の方針である旨を社内に通達し、全員の認識を共通させましょう。
適切な人員を集めて組織化する
データドリブンマーケティング導入後しばらくは、人材教育や組織編成に力を入れたほうが高い効果を望めます。
ツールやシステムを使うのは自社の「人間」であり、育てるためには人材への投資が必須です。
具体的な投資方法は、以下のとおり。
- データ分析の専門家による社内研修を実施する
- ツールやシステムの使い方を学べる環境を作る
- データサイエンティストやマーケターを採用する
また、データドリブンマーケティングの活用はチームで取り組むべきで、全員が勘や経験ではなくデータ駆動でなければなりません。
共通認識を持った組織で取り組むことで、意思決定からアクションまでがスピーディーに進みます。
チームメンバーにデータ分析・マーケティング・テクノロジーの専門家を含められれば、より効果的な施策を打てるでしょう。
外部へのサポート依頼も戦略のひとつ
データドリブンマーケティングに必要な人員を集められない場合は、マーケティング支援会社へサポートを依頼するのもひとつの方法です。
データ処理・分析能力だけでなく、戦略立案などのマーケティング能力にも長けています。
各種ツールやAIなどデジタルテクノロジーの活用方法にも詳しく、一緒に仕事をするなかで自社にノウハウがたまっていく点もメリットです。
採用や教育にかかる時間とコストを考えれば、外部に依頼したほうが費用を抑えられるケースもあるでしょう。
データドリブンマーケティング入門その5【活用する際の注意点】
データドリブンマーケティングを活用するうえで、注意点もあります。
- 信頼性の高いデータを収集する
- データを活用する前に仮説を立てる
- 過去の成功体験を引きずらない
不正確なデータや偏ったデータを、信じ込まないことです。
たとえば対面でのアンケートでは、本当の意見は言いにくいものです。
データの取得先や収集方法なども精査し、データの信憑性を確保しましょう。
データドリブンマーケティングを正しく活用するには、データ分析時に仮説を立てる必要があります。
ひとつのデータから複数の解釈ができるため、仮説を立てなければ戦略の方向性が定まらないからです。
複数のデータを組み合わせることで、仮説の精度が上がります。
また、どれだけ過去に成功した手法でも、データ的な根拠がなければ戦略を変更しなければなりません。
データドリブンマーケティングを活用した経営戦略で業績を上げる
データドリブンマーケティングは、データを根拠にマーケティングを組み立てる手法です。
すべての作業がデータから始まり、勘や経験といったデータ以外の要素は除外します。
合理的な意思決定を可能にし、ROI(投資利益率)の向上が見込めます。
個人の能力に依存しないため、属人化しにくく再現性が高い点も魅力です。
データドリブンマーケティングが成功するかは、データの重要性を社内全員が理解しているかにかかっています。
組織ぐるみで取り組む必要があるため、各部署の理解と連携が不可欠なのです。
経営者自らがデータドリブンマーケティングを理解し、強い意志を持って社員を巻き込むことが重要です。