広告代理店と言えば電博、アサツーディー・ケイ。
かつてそう言われていた頃は、マスメディアの影響力が強く、
広告を出し、サービスを多くの人の元に認知させるには、広告代理店に依頼を行う必要がありました。
ですが、今はマスメディアの影響力が下がり、WebやSNSの影響力が飛躍しました。
Web広告であれば、出そうと思えば誰でも出せる時代。
そんな時にわざわざマージンを払ってまで広告代理店に依頼する必要はあるのか、と思う事業主の方も多いでしょう。
そこで、今回の記事では代理店に集客を依頼するメリットと、デメリットや懸念点、
及び、集客をインハウス化し自社で広告運用を行う上でのメリットと、デメリットや懸念点をご紹介します。
それを把握した上で、自社にとって広告代理店への依頼が必要なのか、メリットになるのか、ぜひ判断して頂きたいと思います。
広告代理店に集客を依頼するメリット
リソースの削減になる
まず広告を出稿する際には、配信面やターゲティングなどを設定し、広告のクリエイティブを作成する必要があります。
さらに広告を配信開始した後もセグメントごとの予算調整や、クリエイティブの変更を広告成果に応じて行なっていく必要があります。
広告効果を最大限に引き出すには、リサーチや分析、クリエイティブの作成や委託にもそれなりのリソースが掛かってくるでしょう。
広告代理店に依頼すれば、そういったリソースを割く必要はありません。
自社の中でリソースを捻出する必要もないため、施策の開始までの対応は、よりスピーディーに進む可能性が高いでしょう。
最短距離での集客力は高い
悪化要因や改善ポイントの把握や改善アクションが早く、最短距離での効果改善が可能というのも代理店へ依頼する魅力になります。
広告運用での実績が既にあり、集客に関する知見が広い点、スピーディーな対応が可能な体制が整っている点が代理店の強みです。
例えばLPにLINEの追加や電話問い合わせのクリックボタンが設置されている場合の計測方法など、広告代理店では定石とされている設定についても調べればたどり着く事は可能かもしれませんが外注してしまった方が圧倒的に早く進行します。
3ヶ月でリードを何件獲得したい、1ヶ月でサイト流入を何PV増やしたいなど短期中期で明確な数字を出したいという目標があるのであれば広告代理店に任せた方が効率的な可能性も高いです。
トラブルの対処に困らなくてよい
広告の予算を月20万円と設定していたが、配信がほとんど進まない。
30万円ほど広告費を投じたが、資料請求が1件もなくこの後どうすべきかも分からない。
少しセンシティブな内容の広告を配信した所、広告が炎上してしまったなど、広告を配信する上ではさまざまなトラブルが発生するリスクも存在します。
また自社で広告運用を行う場合、マーケティング担当が離職・異動してしまった場合にはすぐに別の人材を配置する必要があります。
広告代理店に依頼する場合にも、もちろん上記のようなトラブルが発生する可能性はありますが、広告代理店側がその対応を行ってくれる事が多いです。
また、広告代理店側の運用担当が仮に離職したとしてもすぐに別の人材が担当に着くような体制を取っているため、人材確保の面でも自社運用と比べリスクは低くなります。
マージンを払っている分、広告配信におけるリスクを代理店側にも背負ってもらう事が出来るという事も大きなメリットになります。
最新情報をもとに集客してもらえる
ネット広告では特にメディアのアップデートも多く、メディアの数もしかり、それぞれの配信手法なども多岐にわたります。
広告代理店はそういった広告媒体に関する最新動向も含め、クリエイティブのトレンドや分析・MAツール等まで、情報のキャッチアップが速いです。
同業他社や類似商材ではどんなクリエイティブがヒットしているのか、広告費に対しどれくらいの成果を上げられているのか、など社内だけでは収集しきれない情報もあるでしょう。
検索すればある程度の情報は見つける事が出来る時代ですが、同時に多くの情報・データを保有している事が強みになる時代でもあります。
多くの情報を元に、集客を実施出来るというのは広告代理店に依頼する上での大きなメリットです。
広告代理店に集客を依頼するデメリット
直接広告を出稿、運用できる環境は整っている
冒頭でもお話しした通り、かつての広告代理店にはマスメディア側の販売代理、という機能が存在していました。
広告枠を売りたいメディア、広告を流したい広告主、この二つのニーズを繋ぐ存在として広告代理店が位置し、利権を得ていた構造があります。
しかし、そもそも現在は広告主が直接広告を出稿出来る環境は整っています。
ネットメディアには基本的には誰でも広告出稿を行う事が出来るためです。
一方でかつてのマスメディアの影響力は下がっており、更にSNSやSEO含め、認知拡大や販売促進の方法も、より多岐に渡る形へと変遷を辿っています。
上記の事から、集客を行う上で広告代理店を介するのはマストでは無くなってしまっています。
「やろうと思えば自社でも出来る。広告枠を直接買えるならもう代理店を挟む必要は無いよね?」
実際、枠の買い付けという点に限れば代理店に依頼するのは確かにデメリットしかありません。
広告代理店に依頼するよりも自社で広告を出した方が良いのでは?と考える方の多くは上記のような考えを持たれているのではないでしょうか。
社内にノウハウが溜まりづらい
広告代理店に集客を依頼すれば社内に集客ノウハウは溜まりづらくなります。
代理店からレポートなどを通じて配信データは共有してもらえますが、そういった情報は主に「結果」であり、そこに至った「経緯」を全て共有してもらうのは現実的でありません。
広告施策におけるミクロな最適化の方法や細かな分析方法などは実際に運用を行わないと見えない部分も多いです。
ノウハウが溜まらなければ集客の領域は代理店側への依存が続くという懸念も生まれます。
最近ではWebマーケ領域に特化した人材派遣やインハウス運用のためのコンサルのサービスも出来ていますから、
そういったサービスを活用するというのも選択肢の一つにはなるでしょう。
不透明な運用を行われるリスクもある
広告代理店に依頼をする上では、どんな配信を行っているのか等の情報開示に事実との乖離が発生する、または最悪のケースとして架空請求を行ったりという事も発生する可能性はゼロではありません。
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上記の記事のように、大手企業でも発生した事例がありますから、代理店選びの問題というよりは代理店に依頼する限りはそのリスクは存在するというのが正しい認識かと思います。
一方で自社運用を行えばそういったリスクは存在しなくなります。
コミュニケーションコストが生じる
広告代理店に依頼するとなれば、ヒアリングや施策の擦り合わせのためのMTGを設定する必要があります。当然日々の連絡についても社外向けのコミュニケーションを取る必要があります。
社内の部署間などのやりとりと比べ、コミュニケーションコストは大きくなってしまう場合が多いでしょう。
また、自社の商材への理解の深さという面でも自社運用と代理店運用の間で大きな差が生まれる可能性は高いです。
集客において、商材の特徴や魅力を深く理解しているという事は非常に重要なポイントです。
どんな人がどんな魅力を感じて使用しているのかを既に肌で感じている人が行う方がターゲットの設定や広告文の作成にも磨きがかかるでしょう。
他方で特定の業界に関する実績や知見を多く保有している代理店もあります。
自社が属する業界の実績や知見が豊富か、商材への理解に対する姿勢は積極的かという点は代理店の選定においても重要なポイントになります。
自社運用(インハウス)を行うメリット
マージンを払う必要が無い
当然代理店に依頼する場合には広告費に加えて代理店に支払う手数料がコストとして発生します。
自社で運用を行う場合、そのコストが発生しないため、その分製品の品質改善や人件費など別の経費に充てる事が可能です。
もっとも分かりやすいメリットはこのコスト面の部分かと思いますし、どこにどう投資するかは非常に重要な部分です。
広告を出稿したいと考えているのであれば、
広告予算を策定すると同時に自社運用を行う場合に必要なリソースや広告代理店に依頼するメリットを鑑みた上で、それぞれ費用対効果が合うか考慮する必要があります。
広告予算が大きく、運用手数料が高額であればあるほど、社内リソースに代替できる予算が浮くという事になりますから、50万円前後などある程度少額であればむしろ代理店に依頼してしまった方がコスパは良いという事も考えられます。
少額予算からでも広告を配信出来る
広告代理店側が提示する条件として、最低出稿金額を設けている代理店も多いです。
そのため、まずは少額での配信をしたいと思ってもそれが出来かねるケースも多いでしょう。
他方で自社運用であれば、月数万円の予算でも配信自体は可能です。
予算感的にそもそも代理店への依頼が難しい場合は、自社で運用を行うかクラウドワークスなどで外注をする必要があるでしょう。
個人的な意見としては、小規模なビジネスを行っているのであれば一旦少額から配信を試し、その中での成果や工数を材料に予算や代理店への依頼の要否を再度判定するというのもありかとは思っています。
一気通貫したマーケティングが行える
広告代理店のサービス領域は基本的に集客の部分のみとなりますが、マーケティングにおいて重要なのは全体最適です。
どんな商材を売るのか、その商材をどう認知させどう届けるのか、届けた上でその顧客とはどんな関係を築いていくのか。
そのためのリサーチや企画、開発、セールス、広告出稿、顧客管理まで全てを含めた活動がマーケティングです。
自社で運用を行えばこの全てを一つの傘の下で管理することも可能です。
特に昨今的には消費行動のサイクルもより短くなりつつあります。
スマホでSNSや広告を見て、スマホで買って、スマホで問い合わせる。
そのリードタイムも以前のようにサービスを認知して検討してというファネル構造から瞬間的に欲しくなったり、興味が出て、購入や問い合わせをするという風に加速しています。
こういった購買行動を踏まえると、
一人の顧客を始点から終点まで追い続ける事が出来、様々な消費者の行動に柔軟に対応出来るというのは大きな強みになり得ます。
自社運用(インハウス)を行う上でのデメリット
専任のチームや担当者を設置する必要がある
前半でも記載した通り、広告を出稿するには入稿、クリエイティブの作成などそれなりのリソースが割かれます。
また、社内運用であれ報告資料の作成は必要になる可能性も高いでしょうし広告における戦略策定なども当然社内で行っていく必要が出てきます。
そうなれば社内の誰か一人が片手間で行うというのは少し厳しいでしょう。
専任の担当者や規模によってはチームを設置する必要がありますし、人材が流出した場合の対応についても考慮の必要があります。
上記の人材確保の必要性に関しては、インハウス運用を検討されるにあたって必ず把握をして頂きたいポイントです。
競合や類似商材との比較は難しい
先述の事と重なりますが、Web広告の導入時の設定や運用方法、Googleアナリティクスの分析方法などはインターネットや書籍などにも情報があります。
一方で競合や類似商材ではどんな訴求、媒体がより効果的なのか等は調べても中々掴めない情報なのではないかと思います。
インハウス運用を行う場合、訴求方法や戦略策定は初動は手探りになってしまう可能性が高いため成果が出るまでの時間がより掛かってしまう懸念はあります。
情報の共有や収集のスピードが遅くなりがち
先述の類似商材のマーケティングに関する知見がより薄くなるというデメリットに対し、その知見を持った代理店出身のマーケ人材を雇うというのも適切な対策にはなり得ます。
しかしそれでもマーケティングのトレンドは変化も激しいです。
同業界のマーケティングのトレンドに加え、
媒体やツールに関する情報収集のスピードも広告代理店よりは遅くなるでしょう。
将来的にはインハウス運用を行う想定でも一度代理店へ集客を依頼し、その代理店から効率良く情報収集するというのも良い選択かと思います。
広告代理店かインハウスかを検討する上で
インハウス運用に必要な体制を明確にしておく
上記で何度か取り上げた通り、インハウス運用を検討しているのであればそのために必要な体制を把握しておくのはマストになります。
下記にインハウス運用で100万~200万程の広告配信を行う場合に必要な体制の例を記載します。
①プロジェクトの全体統括・プランナー
KGIから施策の方向性を明確にし、KPIを策定。
配信媒体や予算を策定。
リサーチや分析から上がった情報を管理し、それをもとに再度方向性を定義し進行を務める。
②クリエイティブ制作・ディレクター
実際の制作の部分は外注しても問題はないと思いますが、クリエイティブの立案をし外注先とコミュニケーションを進められる事が出来る人材の確保が必要です。
③配信オペレーター
①が描いた全体像をもとに実際に広告出稿のための設定を行い日々の配信調整、進捗確認を行う。配信結果をまとめたり、細かなリサーチや分析を行ったりするのも主にオペレーターの役割です。
レポーティングや進捗の管理には効率化のためのツールを導入した方が良いです。
インハウス運用を行うのであれば尚の事、広告代理店が使用しているようなレポートツールや自動化ツールは積極的に導入するように心がけて頂きたいです。
おすすめのレポートツールに関する記事も添付しますので、ぜひご覧ください。
小規模であれば上記全てを1人で行う事も不可能ではありませんが、専任兼任含め2~3人程の体制で行って業務属人化のリスクを低減した方が良いでしょう。
人材が異動、離職した場合のリスクヘッジにもなります。
KPIを明確にする
インハウス運用か代理店側での運用かを問わず、広告施策におけるKPIを明確にしておくというのは非常に重要です。
こちらも先述の事と重なりますが、短期間である程度の数値を出したい場合には代理店へ依頼を行った方が良い場合も多いでしょうし、どんな場合であれ代理店側もKPIが明確な方が施策を立てやすいです。
施策を立てる上でKPIを明確にする必要があるのは当然ご存知かと思いますが、広告施策に於いてもこの点は忘れずに行ってください。
代理店選びは慎重に行う
上記の文中でも記載している通り、代理店に集客を依頼する場合には代理店選びが非常に重要になります。
また、広告出稿を行うハードルが下がり、広告代理店の権威性が低くなってしまった分、代理店側も運用体制の構築、リサーチ、ツールの提供など必死で付加価値を付け、より競争も激しくなっていると個人的には感じています。
そんな中では広告主側にとっても特に、どの代理店をどんな風に利用するのかという論点がより重要度を増してくるのではないでしょうか。
下記に広告代理店選びに関する記事も添付しますので、ぜひ参考にしてみてください。
[blogcard url=”https://www.data-be.at/magazine/programmatic-advertising-agency/”]