法律・届出

【完全ガイド】民泊の届出・許可申請の方法|必要書類から費用まで解説

民泊を始めるためには、法律に基づいた届出または許可申請が必要です。無届け・無許可での運営は旅館業法違反となり、罰則の対象となります。本記事では、「住宅宿泊事業法(民泊新法)」「旅館業法(簡易宿所営業)」「特区民泊」の3つの制度について、手続きの流れと必要書類を詳しく解説します。

〜 目次 〜

  1. 民泊に関する3つの法制度
  2. 住宅宿泊事業法(民泊新法)の届出
  3. 旅館業法(簡易宿所営業)の許可申請
  4. 特区民泊の認定申請
  5. 届出・許可申請の代行サービス
  6. 届出・許可後の変更届
  7. まとめ

民泊に関する3つの法制度

民泊を合法的に運営するための法制度は3つあります。それぞれの特徴を理解し、自分の運営スタイルに合った制度を選びましょう。

3つの制度の比較

項目 住宅宿泊事業法(民泊新法) 旅館業法(簡易宿所) 特区民泊
手続き 届出 許可申請 認定申請
営業日数 年間180日以内 制限なし(365日可) 制限なし
最低宿泊日数 なし(1泊から可) なし 2泊3日以上
対象エリア 全国 全国 特区のみ
申請費用 無料 約2万円(自治体による) 無料〜数万円
難易度 比較的容易 高い 中程度

💡 どの制度を選ぶべき?

副業・小規模運営→住宅宿泊事業法(民泊新法)がおすすめ。年間180日以内なら、手続きがシンプルです。
本格的なビジネス→旅館業法(簡易宿所営業)で365日営業を目指しましょう。
特区エリアにある物件→特区民泊も選択肢になります。

住宅宿泊事業法(民泊新法)の届出

2018年6月に施行された住宅宿泊事業法は、最も手軽に民泊を始められる制度です。届出のみで営業を開始でき、審査はありません。

届出の要件

住宅宿泊事業法で届出を行うには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 「住宅」として使用可能な物件であること
  • 台所、浴室、トイレ、洗面設備があること
  • 年間180日以内の営業であること
  • 消防法令に適合していること
  • マンションの場合、管理規約で禁止されていないこと

届出の流れ

届出は以下の流れで行います。期間の目安は2週間〜1ヶ月程度です。

  1. 事前相談:管轄の自治体窓口に相談
  2. 消防署への相談:消防法令適合通知書の取得準備
  3. 必要書類の準備:下記の書類を揃える
  4. 届出書類の提出:窓口またはオンラインで提出
  5. 届出番号の交付:届出受理後に番号が付与される
  6. 営業開始:標識を掲示して営業開始

必要書類一覧

書類 個人 法人 備考
住宅宿泊事業届出書 自治体の書式を使用
住民票の写し 本籍地記載、マイナンバー記載なし
登記事項証明書 法務局で取得
役員の住民票 役員全員分
欠格事由に該当しない旨の誓約書 自治体の書式
届出住宅の図面 間取り図、各室の面積
消防法令適合通知書 消防署で取得

🏢 マンションの場合の追加書類

  • 管理規約の写し(民泊禁止の記載がないことを確認)
  • 管理組合への届出の写し、または「禁止する意思がない」ことの確認書
  • 賃貸物件の場合は、賃貸人(オーナー)の承諾書

消防法令適合通知書の取得

民泊施設は消防法上「用途」が変わるため、消防設備の設置が必要になる場合があります。消防署への事前相談で、必要な設備を確認しましょう。

物件の種類 必要な消防設備の例
戸建て(家主同居) 住宅用火災警報器のみでOKの場合も
戸建て(家主不在) 自動火災報知設備、誘導灯
マンションの一室 建物全体の用途・設備による

届出後の義務

届出が受理されたら、以下の義務を果たす必要があります。

  • 標識の掲示:公衆の見やすい場所に届出番号を掲示
  • 定期報告:2ヶ月ごとに宿泊日数などを報告
  • 宿泊者名簿の作成・保管:3年間保存
  • 外国人への外国語案内:設備の使い方、避難経路など
  • 騒音防止の説明:ゲストへのルール説明
  • 苦情対応:近隣からの苦情に適切に対応

⚠️ 180日制限に注意

年間180日を超えて営業すると法律違反になります。また、自治体によっては条例でさらに営業日数が制限されている場合があります(例:東京都文京区は全域で禁止区域あり)。必ず事前に確認しましょう。

旅館業法(簡易宿所営業)の許可申請

年間180日を超えて営業したい場合は、旅館業法に基づく「簡易宿所営業」の許可が必要です。審査があり、要件を満たさないと許可されません。

許可の要件

簡易宿所営業の許可を取得するには、以下の要件を満たす必要があります。

要件 内容
客室床面積 33㎡以上(宿泊者数10人未満は3.3㎡×宿泊者数)
換気・採光 窓などで適切に確保されていること
トイレ 適当な数があること
入浴設備 宿泊者の需要を満たすための設備
用途地域 旅館業が営業可能な地域であること
構造設備 建築基準法、消防法に適合していること

許可申請の流れ

許可申請は以下の流れで進めます。期間は1〜3ヶ月程度が目安です。

  1. 保健所への事前相談:物件の適合性を確認
  2. 建築指導課への相談:用途変更の要否を確認
  3. 消防署への相談:必要な消防設備を確認
  4. 必要に応じて工事:設備の設置、改修
  5. 許可申請書類の提出:保健所に申請
  6. 現地調査:保健所職員による検査
  7. 許可・営業開始:許可証の交付

📋 事前相談が最重要

旅館業許可は複数の行政機関が関わるため、必ず事前相談を行いましょう。相談なしで物件を購入・契約すると、許可が取れないケースもあります。保健所、建築指導課、消防署の3箇所に相談するのが基本です。

用途地域の確認

旅館業が営業できない用途地域があります。物件を決める前に必ず確認しましょう。

用途地域 旅館業の可否
第一種低層住居専用地域 ×(原則不可)
第二種低層住居専用地域 ×(原則不可)
第一種中高層住居専用地域 ×(原則不可)
第二種中高層住居専用地域 ×(原則不可)
第一種住居地域 △(3,000㎡以下)
第二種住居地域
商業地域・近隣商業地域

申請費用の目安

旅館業許可の取得には、以下の費用がかかります。

  • 許可申請手数料:約2万円(自治体による)
  • 消防設備の設置:10万円〜100万円以上
  • 建築確認申請(用途変更の場合):数十万円
  • 行政書士への代行依頼(任意):15万円〜30万円

特区民泊の認定申請

国家戦略特区に指定されたエリアでは、「特区民泊」として認定を受けることで、旅館業法の適用を受けずに民泊を営業できます。

特区民泊の対象エリア

特区民泊は以下のエリアで認定を受けられます。

  • 東京都大田区
  • 大阪府(大阪市、東大阪市、八尾市など)
  • 北九州市
  • 新潟市
  • 千葉市

特区民泊の特徴

項目 内容
最低宿泊日数 2泊3日以上(大阪市など)
営業日数制限 なし(365日営業可能)
床面積要件 25㎡以上(自治体による)
近隣周知 住民説明会や周知活動が必要

💡 特区民泊のメリット・デメリット

メリット:旅館業許可より要件が緩い、365日営業可能
デメリット:最低2泊以上の制限があり、1泊の需要を取りこぼす。対象エリアが限定的。

届出・許可申請の代行サービス

手続きが複雑で時間がない場合は、専門家への代行依頼も選択肢です。

行政書士への依頼

行政書士は許認可申請のプロフェッショナルです。書類作成から提出、行政との折衝まで代行してもらえます。

依頼内容 費用目安
民泊新法の届出代行 5万円〜15万円
簡易宿所の許可申請代行 15万円〜30万円
消防関係の手続き込み +5万円〜10万円

民泊運営代行会社の活用

民泊運営代行会社の中には、届出・許可申請のサポートから運営まで一貫して対応してくれるところもあります。開業後の運営も任せたい場合は、検討してみましょう。

届出・許可後の変更届

届出・許可を受けた後に内容に変更があった場合は、変更届の提出が必要です。

変更届が必要なケース

  • 届出者(事業者)の氏名・名称・住所の変更
  • 届出住宅の名称の変更
  • 住宅宿泊管理業者の変更
  • 届出住宅の間取りの変更

廃業届

民泊事業を廃止する場合は、廃業届の提出が必要です。届出日から30日以内に届け出る義務があります。

まとめ

民泊を始めるには、必ず法的な手続きが必要です。無届け・無許可での運営は違法であり、罰則の対象となります。

📝 届出・許可申請のポイント

  • 初めての民泊・副業:住宅宿泊事業法(民泊新法)の届出から始めよう
  • 本格的なビジネス:旅館業法(簡易宿所営業)の許可取得を目指そう
  • 特区エリアの物件:特区民泊も選択肢として検討
  • 事前相談が最重要:自治体の窓口に必ず相談してから進めよう

手続きは煩雑に感じるかもしれませんが、一度クリアすれば安心して運営を続けられます。不安な場合は行政書士や運営代行会社のサポートも活用しながら、合法的な民泊運営を始めましょう。

📍 エリア別の届出・規制ガイド

各自治体によって届出手続きや規制が異なります。詳しくは各エリアのページをご確認ください。

新宿区(30分ルールあり) 渋谷区(100mルールあり) 池袋(豊島区)
品川・大田区(特区民泊) 箱根(旅館業推奨) 熱海(旅館業推奨)

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